「お掃除機能が付いているから、エアコンクリーニングは必要ないでしょ?」
お客様からよく言われるこの言葉。結論から言うと、それは大きな誤解です。
実際に私がクリーニングするエアコンの半分以上がお掃除機能付きですし、中を開けてみるとカビだらけということも珍しくありません。
この記事では、お掃除機能付きエアコンの「お掃除」が何を掃除しているのか、なぜカビが生えるのか、プロの本音で解説します。
お掃除機能が掃除しているのは「フィルターだけ」

お掃除機能付きエアコンの「お掃除」とは、フィルターに付いたホコリを自動で取り除く機能のことです。
エアコンの前面カバーを開けると見える、あの網目のフィルター。お掃除機能は、小さなブラシでこのフィルターのホコリを掻き取ってダストボックスに溜める、というだけの仕組みです。
つまり、エアコン内部の熱交換器、送風ファン、ドレンパンといった「本当に汚れる部分」は一切掃除していません。
お客様の多くが「お掃除機能=エアコン内部まで掃除してくれる」と思っていますが、実際にはフィルター表面のホコリ取りだけ。ここが最大の誤解です。
お掃除機能付きの方がカビやすい理由
意外に思われるかもしれませんが、プロの現場感覚では、お掃除機能付きエアコンの方がカビがひどいケースが多いです。
理由は2つあります。
1つ目は、「掃除してくれるから大丈夫」という安心感から、プロのクリーニングを何年も頼まない方が多いことです。通常のエアコンなら「汚れてきたからそろそろ掃除しよう」と思うところを、お掃除機能があるばかりに放置してしまいます。
2つ目は、お掃除機能付きエアコンは構造が複雑なため、内部に湿気がこもりやすいことです。部品が多い分、水分が残りやすく、カビの繁殖スピードが速い傾向があります。
5年以上お掃除機能を信じて放置していたエアコンを開けると、内部が真っ黒ということは珍しくありません。

▲ お掃除ロボット付きエアコンのアルミフィン(熱交換器)です。ロボットが何年も稼働していたにもかかわらず、びっしりとホコリとカビが付着しています。お掃除機能はここには一切触れません。

▲ 同じエアコンの吹き出し口(シロッコファン)です。熱交換器と同様、お掃除機能では一切手が届かない場所です。この状態で風が吹き出していると思うと、見過ごせません。
お掃除機能付きエアコンのクリーニング費用
お掃除機能付きエアコンのクリーニングは、通常タイプより料金が高くなります。理由は、構造が複雑で分解に時間がかかるからです。
費用の目安は以下の通りです。
通常タイプの壁掛けエアコンが8,000〜12,000円に対して、お掃除機能付きは13,000〜18,000円程度です。
作業時間も通常タイプが1.5〜2時間のところ、お掃除機能付きは2〜3時間かかります。

▲ 取り外したお掃除ロボット本体です。クリーニングではまずこのロボットを分解・取り外してから、内部の洗浄作業に入ります。これが通常タイプより時間と費用がかかる主な理由です。

▲ 同じエアコンをプロが分解して洗浄している状態です。構造が複雑なため、通常タイプより時間と費用がかかります。
「お掃除機能付きだからクリーニング不要」と思っていた方にとっては想定外の出費かもしれませんが、内部のカビを放置して健康に影響が出ることを考えれば、2〜3年に1回のクリーニングは必要な投資だと思います。
自分でできるお手入れはあるの?
お掃除機能付きエアコンでも、自分でできるお手入れはあります。
まず、ダストボックスの掃除です。お掃除機能がフィルターから掻き取ったホコリは、ダストボックスに溜まります。これを半年に1回は取り出して掃除してください。ダストボックスがいっぱいだと、お掃除機能自体がまともに動きません。
次に、フィルターの水洗いです。お掃除機能があっても、フィルターの細かい汚れは完全に取りきれません。3ヶ月に1回はフィルターを外して水洗いすることをおすすめします。
現場からひとこと補足すると、キッチンに近いエアコンのフィルターは油を吸っていてベタベタになっているケースが多いです。水だけでは落ちにくいので、食器用洗剤をぬるま湯に溶かして洗うと効果的です。
フィルター掃除の詳しい手順はこちらの記事で解説しています。
そして、冷房使用後の送風運転です。冷房を切った後に30分ほど送風運転をすることで内部を乾燥させ、カビの繁殖を抑えられます。
ただし、これらはあくまで「カビの進行を遅らせる」お手入れです。内部に付いたカビを除去するには、プロのクリーニングが必要です。
お掃除機能を過信しないで
お掃除機能付きエアコンの「お掃除」はフィルターのホコリ取りだけ。内部のカビは一切掃除できません。
むしろ「掃除してくれるから大丈夫」と放置してしまい、通常タイプより汚れがひどくなるケースが多いのが現場のリアルです。
ダストボックスの掃除、フィルターの水洗い、送風運転でカビの進行を遅らせつつ、2〜3年に1回はプロのクリーニングを検討してください。
エアコンの臭いや汚れが気になる方は、以下の記事もあわせてご覧ください。


